2008/01/05(土)
あけましておめでとうございます。
といっても、もう5日ですが。

書籍関係の話題があったので、久し振りに書いてみます。


売れているのに重版されない、の何故?(ゴルゴ31)
実は、重版されずに品切れを起こしているのは中・小規模書店のみで大型店舗には山積みされていたりします。
出版社・取次が大型店舗を優先して配本しているのです。
小さい本屋がいくら欲しがっても、大型店舗に在庫が有る訳ですから出版社は重版をあまりしない
というのが実情のひとつです。
もちろん、のべるぶろぐさんの書いている事も実情のひとつで間違っていませんよ。

昔、とある中規模出版社のコミックがアニメ化をした時に、そのコミックスを需要のままに重版をかけました
ですが、その作品のアニメが終了した後に物凄い量の返品があったそうです。
それ以降その出版社のアニメ化した作品は小さな本屋では手に入りにくいのです。
ですが、大型店舗では積んであったりしますw
この出版社の作品で、今度3度目のTVアニメ化が決定した作品(OVAもあり)のコミックスは
未だにアニメ化1回目の時からずっと出版社品切れ状態です。
ですが、大型店舗では積んであったりしますwww

要するに、売れているのに重版されないというより、
不足して欲しがっている所に回っていかないというのが正しいのだと思います。


書店が万引き防止ICタグ一斉導入で万引き厨涙目w(楽画喜堂)
出版業界の関係者以外の人が見たら、「これで万引きが減れば良いよね」
などと思うかもしれません。
しかし、私はこれを読んだ時に、申し訳ないですが鼻で笑ってしまいました
すぐに実現はしないと思います。早くて4・5年後?へたをしたら頓挫すると思います

まず、「書籍の万引き被害を防ぐとともに店頭でのマーケティングにも活用、」
とありますが、これはすでに「防犯ゲート」や「ポスシステム」の導入で、すでに実現出来ています

「また、書籍の陳列棚に読み取り装置を設置すれば、来店客が手に取って立ち読みしたりする頻度の高い書籍を把握できる。人気のある書籍の仕入れ部数を事前に増やしたり陳列場所を変えたりして売り上げ増につなげるなど、書店での販売促進策にも役立てられる。」
こんな事は担当者が真面目に仕事をしていればICタグなど必要ありませんw

たしかにポスシステムよりICタグの方が細かく管理できて、便利にもなるでしょう。
じゃあなぜ未だに万引きが起こるのでしょう。
答えは簡単です。管理自体が簡単になっても、管理するのは人間だからです。
防犯ゲートを設置している店ですら万引きが無くならないのに、なぜICタグを仕込むと万引きが減るのでしょうか?
そんな事は有り得ません。
もし、発覚したとしても捕まえるのは人間です。ICタグが捕まえてくれる訳ではありません。
まだどのようにICタグを付けるのか決まっていないみたいですが、計画的に万引きしようとする人間ならば店内で外すなどの対策をされたらおしまいです。
結局、ICタグ=万引き防止にはなり得ないのです。

それよりも、ICタグによって深刻な問題が出てきます。
それは経費です。

大型店舗は良いでしょう。ですが、中・小・個人経営の書店などは読み取り装置や専用のゲートを導入しなければならず、書店側の負担はかなりの物です。

みなさんの行く書店には全て防犯ゲートが有るでしょうか。無い店も存在します。防犯ゲートがある店は店側で本に防犯タグを仕込みます。
ですが、これは物凄く手間と費用がかかります。
たしかにICタグが始から付いていれば店側の手間は減るかもしれません。
私のいた本屋はポスシステムすら有りませんでした。レジは全て手打ちでした。
読み取り装置を導入しなければICタグはまったく存在意義が有りません
本屋として読み取り装置の導入が必須となれば、廃業する本屋がさらに増えると思いますよ。


そして、さらに問題なのが出版社に掛かるコストが増えると言う事。
ICタグを付ければ確実に本の値段が上がります
ここ最近だけを見ても、マガジン・サンデーが240円→250円・ヤングマガジンが300円→320円
講談社・秋田書店の一部の新書コミック390円→400円と値上げしました。
・・・・・講談社多いねw

「日立製作所などが開発した1個5円のセキュリティー機能付きタグを採用」
との事ですが、5円の値上げで済むはずがありません。2・30円、下手をすると50円ぐらい値上げするんじゃないでしょうか?
この不況で売り上げが減っているのに値上げ、さらに将来消費税が上がったら・・・。
さらに小さい本屋は潰れるでしょうね

そして、出版社側も。エロ系などの小さな出版社などは、下手をすると導入が出来ない所などもあるかもしれません。
出版経費が増えて、さらに本が売れなくなると・・・。また潰れる出版社が出てくるでしょう
最近でも桃園書房(司書房)・雄出版・英知出版が潰れたのが記憶に新しいです。


ココまでくれば気が付く人もいるでしょう。
なぜそこまでしてICタグを導入するのか?
私は「書籍の万引き被害を防ぐとともに店頭でのマーケティングにも活用」というのは単なるお題目でしかないと思っています。
実は一番やりたいのは「出版元や取り扱いの取次会社、書店での決済状況などのデータを盛り込み、関係者以外は改ざんできないようにする」と「古本屋にタグ読み取り装置を置けば、買い取る本が盗まれたものかが確認できるようにもなる」だと思います。
書店は納品された時点で取次に支払いするので出版社や取次にとって、万引きされても被害がありません
ですが、ICタグを付けると書店データや古本屋にどんな本が流れているかが把握出来るのです。十分にメリットがあります。


結局、このICタグは技術的に可能になったという事だけです。
水素エンジンや電気自動車と同じで、技術的には可能だけど浸透はしないのでは?
まさに絵に描いた餅と思ってしまった訳です。


余談ですが、防犯ゲートで反応してしまうという書き込みがありましたが、それについて。
先ずひとつが、「他の店で買った商品が反応する」という物。
昔の経験で、とらのあなの同人などがよく反応しました。
とらのあなは消去式タグ(機械で効果を無くしてしまうタグ)を使っているので、それが消去しきれずに他の店で反応してしまう事がありました。

>長巻のLANケーブルなんて至極当たり前に反応するし。
防犯ゲートは銅線などが丸まったコイル電池のような状態の物に反応するようになっているのです。
反応する物に心当たりが無くても反応してしまったら、ケーブル系を怪しんでください。
今多いのは、携帯プレイヤーなどのヘッドホンなどです。それを丸めてポケットなどに入れていると反応する事がありますよ。


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